グレープフルーツ
「だって夏南さん、ずっと優助先輩の事見てるんだもん。」

「気になるよなぁ、空。」

「なぁ?陸兄。」

「気にするなぁ!!」

「確かに、気にはなる。」

「なぁ?! 海先輩まで?  もしかしてあたしに味方っていない?」

「「「そういうこと☆」」」

くそぅ…まさか海先輩まで敵にまわろうとは…

先輩相手じゃ断れないじゃん!!

「で?」

陸クンが右手をあたしの顔の横の壁に手をおく。

「どうでしたか?」

空は逆に左手をあたしの顔の横におく。

だからあたしは必然的に陸クンと空に挟まれる形になって…

「かっこよかったか?」

真正面には、空になった紙コップをくわえる海先輩の姿。

「-っ!かっ…かっこよかった…デス//////」

ぽぽぽっと顔が赤くなるあたしの頬。

「あら、真っ赤だよ夏南チャン。」

「男三人に囲まれても赤くならねぇくせになぁ。」

「おかげで優助先輩こっち見てるけどな。」

「っ!!うそ?!」

あたしが優助を見ようとしたら、バシッと誰かの手に視界を阻まれた。

「夏南ちゃん、杏奈ちゃんが用事だって。」

「え?! あっ はい。」

「じゃー、頑張ってー。」

「ばぁい、夏南チャン。」

パタパタパタ…

「……」

「おい、陸。」

肩に手を置かれてビクッとする陸。

「よ、よう 優助。」

ゆっくりと後ろを振り向く陸。

「夏南となに話してたんだよ。」

「な、なんでもねぇよ。恋バナだよ 恋バナ。」

(良かった、兄貴がとっさに夏南チャンの目塞いでくれて。こんな殺気だった優助、夏南チャンにはみせらんねぇや)

「ふぅん…」

「おいコラー!!ダラダラしてっと外周させっぞー!!」

体育館の反対側で陽平先輩が叫ぶ。

「うわっ、やっば!!さっさ行かねぇとマジで外周だ!!」
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