グレープフルーツ
「夏南…かぁ~な~!!」

「んあ?!」

「起きろ、帰るぞ。」

「ふぁい…って、優助も一緒なの?!」

「悪りぃかよ。」

「いや、悪くないけど…」

むしろ嬉しいけど!!やったぁ!!

「ほら、二人共。早く閉めて帰るぞ。」

「はぁーい。」


「ごくろーさん、賢太。」

「さいなら、先生。」

「おう。」

ぴしゃ

賢太が職員室のドアを閉める。

「さて、帰えっぞー。」

「あ~ぁ、疲れた。」

「頑張ってたもんね、二人。」

「おぉ、あんくらいしなきゃ先輩達に追い付けねぇからな。」

カタンとあたしは自分の靴箱を開ける。

「大変だね…ん?」

「?どうした?夏南。」

「いや、なんか手紙入ってるから…」

「何?ラブレター?」

「古!優助の考え古!!」

優助がムッと顔をしかめる。

「じゃぁ何、不幸の手紙か?よかったなぁ、夏南」

「へぇ?!やだよ不幸の手紙とか。」

「夏南が優助からかうからだろ。」

「えー、どうしようコレ。」

「ってか、誰からだよ。」

「えっと…??」

「貸して。」

優助があたしの手から手紙を取り上げる。

「樫野 靖善」

「なんか聞いたことあるような。」

「あぁ、靖くん!!へぇ、こんな字なんだ名前。」

「何?知り合い?」

「うん、中学の後輩」

「あー!吹奏楽の!!」

「そうそう。」

「で?その後輩が何で?」

「えっと、話せば長くなるんだけど…えっと…その…ま、いっか!」

「何がだよ!」

「気にすんな!!ほら、帰るよ。」

「あぁ。」

< 12 / 20 >

この作品をシェア

pagetop