未来から来た花嫁 ~迷走する御曹司~
「あっ。ご主人さま、お帰りだったんですね。申し訳ありません」

「あ、ああ。それよりおまえ、無事か?」

「は?」


思わず聞いてしまったが、どう見ても小松は無事だった。顔に叩かれたような跡もない。俺はホッと胸を撫で下ろした。


小松は俺の部屋へ来て、俺が着替えるのを手伝ってくれている。


「あの男のアパートへ行っていたのか?」


俺はネクタイを外しながら、ズバリそう聞いてみた。何でもない事のように。本当は、それが気になって気になって仕方なかったのだが。


「はい、そうです」


小松は、呆気なくそう答えた。少しは俺をごまかそうとするだろうと思ったので意外ではあったが、一方ではホッとする俺であった。なぜなら、それは小松に後ろめたさがない証だからだ。


「また掃除やら洗濯をしにか?」

「ええ。政宗は目を怪我しているので、それで私が……」


ああ。そう言えばあの男は目に眼帯をしていたな。


「なるほど。それは大変だろうな。ところで、その政宗という男に話したのか?」

「はい?」

「俺との事さ。つまり、その……結婚して、子どもを産むという……」

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