未来から来た花嫁 ~迷走する御曹司~
「小松……?」

「私をからかって、何が面白いんですか?」


え、えーっ!? 何でそうなる?

小松は怒るだけでなく、目が涙で潤みだした。


「小松、からかってなんかないって。俺は本当におまえの事が好きなんだよ?」

「そんなの嘘です。嘘に決まってます」

「嘘じゃないって……」

「嘘です。第一、ご主人さまは菊子さんと結婚しようとしたじゃないですか? たまたまタイムスリップが嘘だとばれたから中止しましたけど、そうじゃなかったらどうなんですか?」

「そ、それは……。あの頃の俺は、投げやりだったって言うか……。それでも内心じゃ揺れてたんだ。おまえか、菊子さんかで……」

「それに、私は一度だって言われた事ないですから。好きだって、あの時でさえ」

「あの時って?」

「あの時と言ったら……あの時です」


小松は、今度は頬の辺りをポッと赤く染めた。怒ったり泣いたり、赤くなったり。忙しいなあ、というのは置いといて……

どうやら小松は、ベッドでの事を言ってるらしい。


「ああ、あの時ね。俺は我慢してたんだよ。言いたくなるのを、必死で堪えてたんだ」

「何でですか? 何で我慢しないといけないんですか?」

「そりゃあ、おまえに迷惑だと思ったからさ」

「私に迷惑? 意味がわかりません。それに……。ああ、思い出したら腹が立って来ました」

「おいおい、今度は何だよ……」


小松は再び怒りだし、俺の事をキッと睨みつけた。


「目的を果たしたら、さっさと冷たくしたじゃないですか!」

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