未来から来た花嫁 ~迷走する御曹司~
あの子は今頃何をしてるんだろうか。住み込みとの事だが、ちゃんと仕事とプライベートの区切りは出来ているのだろうか。のべつ幕無しに働かされていないだろうか。だとしたら可哀想だよなあ……


「信之さん!」

「え? 何?」

「何じゃないですよ。この浅井菊子さんでいいんですね?」


おっと、今はメイドの事を考えてる場合じゃなかったな。うーん、どうしようかなあ。


「この人で何も問題無いですよね?」

「そうだなあ……」


問題かあ。無いと言えば無いように思うが、有ると言えば有るような……


「この人ってさ、結構気が強そうだよね?」

「そ、そうですかね。写真だけじゃ分かりませんけどね」


いや、俺は少しだけどこの人と話をしたんで分かるんだ。慶次にそれを言う気はないが。あの時の印象では、間違いなく菊子さんは気が強いと思う。そういう女性は、どちらかと言うと苦手だなあ。


「仮にそうだとしても関係ないですよ?」

「何? 関係なくはないだろ? 一生の伴侶になるんだから……」

「信之さんは堅いなあ。奥さんと合わなければ、2号や3号を作ればいいだけでしょ? 真田家の当主なんだから、好き放題出来ますよ」

「おまえの考えはそうだろうけど、俺はそういう考え方は出来ないし、したくない。第一おまえ、俺に合いそうな女性はどの人かな、なんてブツブツ言ってたろ? 矛盾してるぞ?」

「そ、それはそうだけど……」

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