未来から来た花嫁 ~迷走する御曹司~
「すまん。でも急だったんだ。まだ誰にも話してないよ」

「そうか。で、その女性に決めたのか?」

「いや、まだだ。返事は1週間後にする事になってる」

「ふーん。どんな人なんだ?」

「どんな? うーん、俺もよくは分からない。旧家の令嬢で、歳の離れた妹が1人いるとか、それくらいかなあ」

「気だてはどうなんだ?」

「そうだなあ。大人しそうに見えるが、実際はかなり気が強いと思う」

「ほお……、その根拠は?」


未来から来た彼女がそうだから、なのだが、それを兼続には言えない。言えば大笑いされるに決まっているから。


「何となくそう思うだけだ」

「そうか」


と言ったきり、兼続はなぜか遠い目をした。何かを考えているようだ。


「よし、分かった」


しばらく間を置いてから、兼続はいきなりそう言って組んでいた脚を解いた。いったい何が分かったのだろう。


「俺が調べておいてやる」

「調べるって、何をだ?」

「そんなの決まってるだろ? その女性の事をだよ」

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