未来から来た花嫁 ~迷走する御曹司~
俺は思い切って小松の名前を口にした。このところの胸のモヤモヤは、その正体こそ今一つ理解出来ないものの、小松が大いに関係してる事は間違いないと思うからだ。


「メイド? そう言えばおまえの家にはメイドが居るんだよな? しかも何人も。初めはびっくりしたよ。なんせ、本物を見たのは初めてだったからな」


兼続は俺の家に二、三度来た事がある。その時の事を言っているのだろうけども……


「本物ってどういう事だ? 偽物のメイドっていうのも居るのか?」

「ああ、いるよ。いっぱいな」

「どこに?」

「そりゃあ、メイドカフェとかだが、そんな話はやめておこう。時間がもったいない。で、その小松ってメイドがどうかしたか?」


メイドカフェ?
何だ、それは……。今度誰かに聞いてみるかな。


「いや、別にどうもしないのだが……」

「それじゃ話に……って、おまえ、何で赤い顔してんだ?」

「え?」


兼続に突然顔が赤いとか言われたが、俺にその自覚はないし、もちろん理由なんか分からない。ただ、そう言えば顔が火照って来たような気がする。


「熱でもあるのか?」

「それはないと思う。いや、あるいはそうかも……」

「変だなあ。ついさっきまではむしろ蒼い顔してたのになあ。メイドの話をした途端……って、おい?」

「な、何だ?」

「おまえ、その小松ってメイドの事を考えたから、顔が赤くなったんじゃないのか?」

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