未来から来た花嫁 ~迷走する御曹司~
「それだけで十分とは思うが、この女性は大変な浪費家で、なおかつ男遊びが激しいと報告書にある。知らずに結婚してたら大変な事になってたぞ?」


へえー、そんな風には見えなかったけどな。ちょっと気が強そうだな、とは思ったが。

あ、そうか。俺は人を見る目がないんだな。あるいは女性に甘いとか。現に、小松の嘘に全く気付かなかったもんな。


「くそっ」

「さすがに温厚なおまえでも怒るよな?」

「え? あ、ああ」


兼続は俺が菊子さんや慶次の事で怒ったと思ったらしい。もちろん違うのだが、そういう事にしておこう。


「他にも何枚か写真があるが、見てみるか?」


そう言って、兼続は残りの写真を俺に差し出そうとしたが、殆ど興味がないので、


「後で見るよ」


と言った。


「そうか。後で一応は目を通してくれ。それにしても驚いたな。まさかこんな結果が出るとは思わなかったよ」

「まったくだな」


兼続は封筒に報告書と写真を戻そうとしたが、その時1枚の写真が抜け落ち、テーブルの上にパサリと落ちた。それをすぐに兼続は拾おうとしたが……


「ちょ、ちょっと待て。その写真を見せてくれ!」


思わす俺はそう叫んでいた。なぜならその写真には、俺がよく知るある人物に似た女性が、写っていたように見えたからだ。

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