未来から来た花嫁 ~迷走する御曹司~
「あ、いいよ。ほら」


手渡された写真には、喫茶店みたいな所で斜めだがこちら向きに座る菊子さんと、その向かいに座る二人の女性が写っていた。手前の女性は横顔が写っているが、おそらく歳は二十歳ぐらいだろう。


「その子は菊子さんの妹だそうだ。だいぶ歳は離れてるけどね。名前は何だったかなあ。忘れた。報告書には書いてある」

「ふーん。その隣の子は誰なんだ?」


俺が注目したいのは妹ではない。その隣に座っている女性だ。妹の陰でよく見えないが、髪の感じがあの子によく似ているのだ。つまり、小松に……


「え? ああ、確か妹の友達らしいぞ。名前とかは不明だそうだ。どうせ菊子さんの件には関係ないだろうしな。妹も関係あるのかないのか、分からないそうだ。ちなみに、この写真は東京で撮ったものだそうだ。妹は東京で一人暮らししてるらしい。あるいはこの友達とルームシェアかもだな」

「この手の写真はこれだけか?」

「えっと、確かもう1枚あったような……おお、あったあった」


兼続は写真をもう1枚差し出して来た。それを見ると、さっきのとほぼ同じアングルではあるが、こっちは小松に似た子の横顔が鮮明に写っていた。そしてその顔は……似てるどころか、小松そのものだった!


小松が、なぜ菊子さんと……

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