私であって、私でない。
「…。」


山田くんに背を向けたあと、私はすぐに走った。


ここには…あまり長くいてはダメだ…。


私はすぐにラグジュアリーショップに入り、商品を手にして、レジへ向かった。


お財布に入っているクレジットカードで会計を済ませて、次に洋服屋に入った。


「私に合う洋服を10着ほどください。」


店員さんに言うと、


「かしこまりました。」


と言ってテキパキと動いてくれた。


「これらですかね?」


その店員さんはセンスが私と合うらしく、すべて私が好きなタイプの服だった。


「全部ください。」


またクレジットカードで、支払いを済まして走ろうとしたとき。


私の視界に、あるお店が飛び込んできた。


マズイ…。


私が目を背けてスピードを早くしようとしたとき


「あの…!」


男の人に話しかけられた。


ダメだ!


私は無視して走った。


私は


玲であり、玲ではない。


「…ちょっと待って!」


ガシッと捕まれた手首。


私はもうダメだと思った。


「…これ。


落としましたよ?」


男の人の手に握られていた私のスマフォ。


…よかった。


「…ありがとうございます。」


パッと受けとると私は山田くんの元へ走った。










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