【新】俺様社長の溺愛
…良くなったはずの体調は、また悪くなる。

・・・気分が悪く、立っているのもやっとだった。

でも、ここで倒れるわけにはいかない。

…全社員が揃うこの場所で、目立つわけにはいかなかった。


「愛海、顔色、真っ青よ?」

私の隣にいた歩がそう声をかけた。


「…ちょっと、気分が悪くて」

そう呟いた時には、視界が真っ暗になった。


…当たりは騒然とする。

…誰かが私に駆け寄ってくるのが分かった。


「おい、愛海、大丈夫か?」

その声と共に、悲鳴まで聞こえてくる。

…この声の主は一体誰?


「社長、ここは私が」

歩がそう言ったものの、社長は、

みんなの注目を浴びながらも、全く躊躇することなく、

私を抱き上げた。


「・・・しゅう・・・」

名前を呼ぶことは叶わず、私は意識を手放した。
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