そこから先は、甘くて妖しいでんじゃらすゾーン。【完】

そして、喫茶店でボヤ騒ぎがあって、イケメン弁護士のマンションに泊まった時、私がなぜ陸さんと男女の仲になっちゃいけないのかと訊ねたら……


―――『鈴音さんが理由を知る必要はない。陸が心得ていればそれでいいんです……。だが、あえて言うなら……血ですね。鈴音さんと陸の血が混じることは許されない……』


そう言ってた。あの時は、なんのことか分からなかったけど、血が混じるとは、私と陸さんの間に子供が出来てはマズいという意味だったかも……


病院の待合室での発言もそうだ。


―――『鈴音さんと陸は、愛し合ってはいけないのです。あなたのその恋は、禁断の恋なのですよ』


禁断……兄と妹なら、確かに禁断の恋。決して許されない恋だ……


私と陸さんが兄妹だという前提でイケメン弁護士の言葉を聞けば、どれも納得出来るモノばかり。


でも、そんなの認めたくない。信じたくないよ……


慌てて否定したけど、今度は陸さんの言葉を思い出す。


病室で家族のことを話してくれた時、お父さんは自動車事故で亡くなったって言ってた……そして、私のお父さんも私が産まれる前に自動車事故で亡くなったって社長が……


お母さんも病気で呆気なく死んでしまったって……私のお母さんも心臓発作で突然死んだんだ。


―――全てが……一致する。


「あぁぁ……」


目の前が真っ暗になり、絶望の二文字が頭に浮かぶ。


でも、ふとあることに気付いた私は一筋の希望の光を見つけたような気がして目を見開いた。


そうだ……イケメン弁護士の両親はどうなんだろう?もし、彼の両親も亡くなっていれば、まだ希望は持てる。


けど、生きていたら……


私と陸さんが兄妹だと証明されてしまうんだ……


< 228 / 280 >

この作品をシェア

pagetop