そこから先は、甘くて妖しいでんじゃらすゾーン。【完】
今まで警備員のおっちゃんが座っていた席に腰を下ろしたイケメン弁護士が、いつものポーカーフェイスで私を見つめる。
「早かったですね」
「鈴音さんが会いたいと言ってくれるなんてめったにないことですからね、慌てて飛んで来ましたよ。で、なんのお話しですか?」
「あ……えっと、それは……」
改まって聞かれると非常に言い辛い。ズバリ聞いてしまえばいいのかもしれないけど、警戒したイケメン弁護士が本当のことを言ってくれない可能性もあるしな。
ここは、さり気なく聞き出すしかないか……
「……この前の話しの続きがしたくて……」
「この前の続き?」
「ほら、平島で遊んだ時の話しですよー」
イケメン弁護士がキョトンとした顔をする。
「そんな話しをする為に、私を呼んだのですか?」
「いけなかったですか?」
「いや……別にかまいませんけど……」
なんか怪しまれてるっぽい……?やっぱり、弁護士に探りを入れるなんて無謀だったのかな?なんて、少々焦っていると、彼の方から思い出話しを始めたんだ。
ホッとした私はイケメン弁護士に怪しまれないように、暫くどうでもいい話題に付き合う。そして、話しを始めて30分ほど経った頃……
もうそろそろいいかな?
あくまでもさり気なくサラッと聞いてみた。
「そう言えば、弁護士先生は東京生まれだって言ってたけど、どうして実家を出てマンションで暮らしてるんですか?実家に居たら楽なのに……」
すると、イケメン弁護士の表情が少し険しくなり「色々、事情がありましてね……」と言葉を濁した。
「事情って?お母さんと喧嘩したとか?」