しっとりと   愛されて
「君の頭の中にはアイデアが沢山詰まっていそうだ。私はそれを引き出してみたいな。君のような市場開拓者はどこへ行ってもやっていける。私の下でなくてもだ。」

「お褒めの言葉と受け取ってもよろしいのですか?」

「そうだよ、君と話していると気持ちが楽になるよ、どうしてかな?」

社長との食事は楽しかった。

話しが弾んだ。

「椿くんには恋人がいるんだろう?どんな男かな?」

「さぁ、どんな人かしら?」

「忙し過ぎて、たぶん会う時間も少ないんじゃないか?」

「そうですね、でもそのくらいが一番負担にならなくてちょうどいいのです。」

「そうだな、私も周りがうるさくてね。見合い話しが尽きなくて困っているんだ。結婚したとしても忙し過ぎて相手をかまってあげられる時間もないに等しい。それが現状なのに果たして結婚が必要なのかどうか疑わしいよ。」

「結婚はいつでも出来ると思います。例え高齢になってもできます。反して離婚は難しいですね。この世で一番困難な仕事です。」

「あっはっは、同感だ。君も結婚には興味がないようで、意見が一致したね?」

「はい。」

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