君のせい




駐輪場に着くと、吉井は私の腕を離して、


自転車を停めた。





駐輪場には、何人か生徒がいて、

自転車を停めたらすぐに校舎の方へと歩いて行く。




吉井はまた私の腕を掴んで、駐輪場のさらに奥へ行き、


校舎の裏へと私を引っ張って行った。



「吉井?」




私が名前を呼ぶと、校舎の壁の前に私を立たせて、



私の顔の横に手をつくと、不機嫌そうな顔で私の顔を覗き込んだ。





「お前さ……ったく、なんなんだよ.......」




吉井は手をつくのをやめて、下を向いて自分の髪をくしゃくしゃっとした。




吉井、怒っている。


そっか、恥ずかしいからってこんな逃げてたら、


すっごく感じ悪いよな...........





吉井がまた顔を上げた。





「俺はお前と、

堂々と、付き合いたいと思ってる。



でも、お前は........」





吉井はそう言って、下を向いてしまった。



そっか.........



恥ずかしいからって、こんな態度とるんじゃなかった。


私って、ほんとバカだ。




恥ずかしいからって、吉井を避けていたら、


ダメじゃん。



本当は嬉しいのに、

会えてうれしいのに、


気持ちと反対の態度をとっていたら、


そのうち吉井に飽きられて嫌われてしまう。



そんなの嫌だ。


絶対に.........嫌だ。




「吉井........ごめん」












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