君のせい

前の席





吉井はまた両腕を机にのせて、

少し首を傾げて私の顔を覗き込んできた。



男のくせに、なんでこんなくりくりしたかわいい目をしてんだよ。


鼻筋通ってるし睫毛も長いし肌も綺麗だし........ちきしょー!



少し上目で下から私の顔を覗き込んでいる吉井が、

ぶっと吹き出して笑った。




「な、なんで笑うんだよ!!」




吉井は、あはははっと下を向いて笑って、


また顔を上げたと思ったら、私の頬に手を当てた。



「ちょっ!!」



その手をはらおうとしたら、反対の手でガシッと掴まれてしまった。



動けない。



腕を掴まれたから動けないんじゃない。


吉井の顔が、真剣だったから、


吉井の瞳が、あまりにも綺麗だったから、



かちんこちんに動けなくなってしまった。




頬に当てられた吉井の手のひらが冷たく感じるのは、

きっと私の顔が........




「熱っ」




ははっと笑って、私の頬から手を離すと、


椅子から立ち上がって、前を向いて座りなおした。




なっ、なっ、何????????



頬に残る吉井の手の感触



私をまっすぐ見つめる綺麗な瞳



くしゃっと大きな目を細めて笑う、

かわいい笑顔





なんなんだ。



今の、なんだったんだ。



この胸がくすぐったい感じは、なんなんだ。


なんでまだこんなにドキドキしてんだ私。



目の前に見える自分よりもずっと大きな背中。


突然、今いるこの席が、

居心地の悪い席になった。



だって、前を向けばどうしても視界に入ってくる、このデカい背中。



気になる


めちゃめちゃ気になる



どうしてくれんだ!このやろう!!








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