呪いのブレスレット
帰りは電車ではなく、歩きにした。

あたしの家まで30分以上かかるけれど、自然と足が駅から離れていた。

花火見物の人はもう歩いていない。

「なあ?」

「ん?」

少し歩いたところで、翔平がおもむろに口を開く。

それまでいろいろと考え込んでいたみたいだった。

「どうして吉村の名前を出したんだ?」

小杉と彼女にひかりの名前を言ったのが気になるようだ。

今までのことをすべて翔平に話したい気持ちもあったけれど、何度も考えている通り、巻き込みたくなかった。

ううん。もう巻き込んでしまったのだろうか。

「なんでだろう……小杉、ひかりと何かあったように思えたの」

とぼけるには無理があるけれど、ここは曖昧にすませなきゃ。

「健人が吉村と?」

さらに追及されそうで――

「あっ! 翔平っ! からあげ食べたくなっちゃった!」

目に入ったコンビニから漂う揚げ物の香りで、とっさに言う。

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