呪いのブレスレット
「だめだと思う前に、顧問に言って休めよな。いいか? だめだと思ったら遅いんだからな?」

「うん。ありがとう」

あたしたちは50メートルほど先に見えるテニス部の部室に向かった。

歩きながら今の出来事を考えてしまう。

あれは……幽霊……人間? ひかりなの? 背格好は似ていた。ううん。ボブヘアの女子なんてたくさんいるし、ひかりのわけがない。

好きなテニスを始めれば、さっきのことは忘れられた。

思い出したのはみんなと別れてから自宅に向かう途中。

むしむしする夏の空気。

なのに、さっきのことを思い出すと背筋にひやりと冷たいものが走り、自転車のハンドルを持つ腕がざわっと鳥肌がたつ。

「早く帰ろう」

幸い仕事帰りのサラリーマンや学生が歩いている。

それでも怖いことにはかわりはないけれど、ひとりよりいい。

あたしは自転車をこぐスピードをあげた。

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