もう一度、君と…。

「なぁ、辛く無い訳?」

「…」

「…辛いんだ?」

ニヤッと笑う晟弥を無視して、ブレスレットに触れた。


「…駆け引きしようか」


駆け引き?

私はチラリと晟弥を見る。

「…駆け引きの内容は、多和だ。もし…卒業式の後、アイツの事だから街にでるだろう。少しでも見たら、恋羽の好きな様にしていーよ。見てくれなかったら…そこで別れる」

「…それだけでいーの?」

私は真顔で晟弥を見る。

「…じゃあ、付け足す。別れたら…俺の告白を受ける」

「…告白?」

全然、気付かなかった。

晟弥が私の事を好きなんて…。

「…い、よ」

私の返事に、そうこなくっちゃ…と言う様にニヤリと笑った。

良い機会だと思う。

「…恋羽?」

百合は心配そうに、私を見る。

「…いいの。もう…」

寂しさのあまり、笑って誤魔化す。

もう…12月下旬。

…でも、3ヶ月はある。

そしたら、私は何が出来るだろうか?



1月上旬。

「…恋羽」

緊張しているのか顔色が優れていない慶ちゃん。

「け、慶ちゃん、大丈夫だって!特待生は受かるよ」

そう、合格発表!

打ち合わせなどしていないが、ぴったし同じタイミングに校門で鉢合わせ。

だから、一緒に行くコトにした。

私はモノクロのマフラーをグルグル巻にする。

慶ちゃんはA特待なんだって!

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