もう一度、君と…。

「うん!私も好きだよ、慶ちゃんのこと」

貴誇さんはニコリと笑って、口を開いた。

「…裕貴みたいに、君は揺るがないんだね」

え?

「…裕貴?」

「…恋羽ちゃん、君は裕貴が好きだったんだろ?それなら…彼氏がいても、来てもいいはずだけどな」

……この人、なんでそこまで言うんだ?

来ないことが、さも可笑しいとでも言いたげに…。

「…裕貴君が何を揺らいだのかなんて知らない。アナタの口説きになんて乗らない」

冷め切った恋羽の瞳。

恋羽の瞳には、貴誇さんが映る。

すると、貴誇さんはクスリと笑った。

まるで恋羽を馬鹿にするように。

「…じゃあ、そのブレスレットは俺が選んだって言うのに?」

「えっ?」

選んだって…!

恋羽の表情が変わった。

驚きが滲み出て、複雑そうな顔でブレスレットをみる。

俺は…何が何だか分からなくなってしまった。

「…そんなことないよ。それは裕貴自身が恋羽の為に買ったんだよ」

灯真が恋羽の手を取って言った。

「…灯真君?」

「…俺もそれについて行ったんだ。一人だとプロポーズみたいだから着いて来てって…」

「…それはネックレス…だろ?」

ニヤリ…そんな顔で貴誇さんが笑う。

灯真は唖然としている。

「…そんな、裕貴は確かにっ」

「ね、灯真君。君がもううろ覚えでしかないんだ。昔なんだよ。薄れていくもの」

灯真が悔しそうに顔を歪めた。

嗚呼、もう分かったのかもしれない。

恋羽、君が選ぶのは……俺ではない。

貴誇さんでもない。

「…裕貴君」

裕貴だけなんだよ。

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