もう一度、君と…。
ハッとして、礼子がいるのを忘れて、我夢中に恋羽を探した。
「…恋羽!…おい…どこにいるんだよ!」
夢中になって捜した。
こんなに声だしたコト…あったっけ?
俺は人混みを掻き分けて捜しても…恋羽の姿は、もう何処にも無かった。
俺は恋羽の家に向かって走った。
どうしても会いたい。
どうしても話したい。
こんなに大切なモノをなくして…初めて気付いた。
インターフォンを押すと、恋羽によく似た少し小さめな女の子が顔をドアから覗かした。
「…あれ?…恋羽姉ちゃんの彼氏の…雪道さん?」
妹だろうか?
恋羽よりも表情が豊かだった。
「…うん。…恋羽はいるかな?」
俺は少し笑って問いかける。
すると少し驚いた顔をする。
「…恋羽姉ちゃんと一緒じゃなかったんですか?」
「…え、うん」
「恋羽姉ちゃん、てっきり雪道さんの所に行ったんだと…」
少しオロオロしだす妹。
「…恋羽、なんか言ってた?」
「…恋羽姉ちゃん、『大好きな人にあってくる』って言ってでて行ったんです」
ズキッと胸に亀裂が入る。
「あ、ありがとう。俺がココへ来たコトは内緒にしてくれないかな?」
これ以上、恋羽を傷つけられない。
「…分かりました」
妹は複雑そうな顔をした後…そう言って、ドアを閉めた。
物分りのいい子で良かった……。
俺は空を見上げた。
…恋羽は今、誰の隣にいて…笑っているんだろうか?
俺は、そこから家に帰ったんだ。