もう一度、君と…。

だって、プロのシュートは高校生が受け止めるには、体力や技術が必要になる。

でも…技術がある人でも、今の反応では遅かった。

だから、反射と言えるだろう。

ポストの男のニヤリと笑った顔に女の客はうっとりだった。

右肘かにテーピングを巻いてでてきたポスト。

その後ろでは、ショボン…とした恋羽がチョコチョコとついて出てきた。

客の6割が女の客だけど、4割は男の客な訳で…。

恋羽のモテっぷりが明かされていた。


「…多和、ごめんね」


急な言葉だった。

隣を見ると、涙目の礼子の姿があった。

「…何?」

礼子は唇を噛み締めて、…重い口を開いた。


「…だって…私のせいでしょ?……女の子一人に本気になれなくなっちゃったのは…」


「…」

俺は言葉を失った。

「…そ、そんなことっ!」

「あるでしょ…?」

俺が「そんなことない!」と言おうとしたのに、礼子は寂しそうに笑うから…言葉に詰まってしまった。

押し黙った俺を見て、更に寂し気に笑う礼子。

「…付き合ってた頃に私が他の男にキスしたり、イチャついたりしたからよね?」

申し訳なさそうに、試合から視線を落とす。

でも、礼子は俺の目を真っ直ぐに見て…違う?とでも聞きた気に笑った。

礼子はわかっていたのかもしれない。

俺と礼子は、小学生ながらに付き合っていた。

でも度々礼子は、他の男と一緒にいて不安だった。

だから、俺はその度に悔しかった。

…恋羽と会って、恋して分かった。

俺が上に立って支配しよう…、と。

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