もう一度、君と…。
そしたら俺は、もう…傷つかない。
…でも思ってもみなかった。
いや、思いたくなかった。
自分は礼子と同じ過ちを犯していることに…。
小学生の頃は、恋羽はあんなに綺麗に可愛く笑っていたのに…。
…その笑顔を俺は…俺は、壊してしまった。
俺は不安だった。
知りもしない奴の所に恋羽が行ってしまうんじゃないかって…。
ずっとずっと……恐れていた。
中学2年になったと同時に、俺は好きでもない女と連む様になった。
恋羽に妬いて欲しかったのかもしれない。
でも恋羽は…一度も「嫌だ」とは言ってくれなかった。
だから、やることを段々エスカレート。
終いには、好きでもない女とファーストキスまでしていて…。
…恋羽には一度もしてあげていなかった。
コレは礼子が俺にしたコトと同じコトだった。
礼子とは関係ない恋羽に…なんてことをしてしまったんだろう。
恋羽と別れてから思った。
…想汰に相談したら怒られた。
『なんでもっと早く気付いてやれないんだ!』
想汰をこんなに怒らせたのは初めてだった。
『…真夏がどれだけ傷ついたか分かるか!?』
押し黙る俺に、更にイラついた様子。
『…真夏が何度お前のイチャつきを見て…ずっと【私は大丈夫】って呟いてたの知ってたか!?……でも、真夏がそれに気づくことはなかった。無意識だったんだよ』
俺はそれを聞いて…絶句した。
だから俺は近づいちゃいけない、と思った。
でも、あの雪の日の再開で、俺はココで終われないって思ったんだ。
「確かに一人の女に本気に………尽くせなかった。でも…恋羽は違うんだ」
俺は試合中の恋羽をみて微笑んだ。
「…一途だったよ。…本気だった。でも…尽くしてやれなかった。俺の心は恋羽だけなんだ」
本気になれなかったんじゃなくて…、尽くせなかったんだ。
「多和は…変わったね。私も変わらなきゃ」
礼子は静かに微笑んだ。