もう一度、君と…。

暁先輩と月沢先輩はもうコートに居て…。

ボール出しからして少し特殊。

月沢先輩は読んでた様に笑う。

作戦を変えるしかなさそう。

…しかも、ガラリと。

それとも暁先輩を挟むことを望んでいたのか。

どっちにしろ、嫌な相手には変わりない。

暁先輩に向かってオーバーパスが飛んでくる。

あたしは暁先輩より高く飛んで、叩き落とした。

私はハッとする。

月沢先輩はそれを望んでいたかの様にニヤリと笑う。

それを月沢先輩は華麗にキャッチして、ドリブルで上がって行く。

啓はサッと回り込んでコースを止める。

暁先輩は台形に入って笑うんだ。

背が高い暁先輩にとって絶対的な自信がある。

私は床を一度見て、口元が上がるのを堪える。

中学生とか、高校生とか関係ない。

私の役目は、‘‘堕とす”だけ。

正面で向かい合わせになる。

暁先輩は、自信に満ちた得意げに笑う。

誰も、俺には届かないし…敵わないと…。

ボールがポストに上がる。

あたしは力を入れて飛ぶ。

暁先輩の手にボールがいったその瞬間。

あたしは暁先輩の手の中にあるボールを下から上に弾く。

スッとボールが抜け落ちるのを見て、暁先輩は目を見開く。

あたしは着地してすぐに態勢を変えて、落ちる前のボールをそのまま投げる。

その先には、待っていたかの様に啓と月沢先輩がいた。

…………………とったのは、啓。

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