もう一度、君と…。

それに更に、月沢先輩が取りに行く。

啓はうずくまってボールを守る。

私が啓に寄ると、啓はニッと笑って、ボールを転がした。

私はそれをドリブルして駆け上がる。

ハーフコートの暁先輩との一対一。

私はそのままドライブ。

そして暁先輩が打つのを防ごうと手を上げた。

打つのは上からだけじゃない。

微笑みを暁先輩に向けてから、上に構えていたボールを…。

暁先輩の腕の下からレイアップの様にボールを放つ。

ーーバシュッ!


「「……」」

小川先生と月沢先輩、暁先輩は、無言になる。

啓を見ると、ニッと笑う。

私も吊られて笑ってしまった。

パチパチと拍手が会場を埋め尽くした。


「…恋羽はバスケ続けるのか?」

小川先生は呆気に取られながら、問いかけてきた。

「…いえ、マネージャーです」

「勿体無い!何部にっ」

今にも掴みかかってきそうな勢いで歩み寄ってくる小川先生。

「……男子バスケ部です」

「「え?」」

男子バスケ部は頭の上に?マークを浮かべている。

「…私、強くしたいんです。例え全国に行ったとしても、優勝じゃありませんよね?私は先輩方をもっと…強くしたい。先輩たちに笑顔でいて欲しい」


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