Candy of Magic !! 【完】




「うん?毎年恒例の海ではしゃごうの旅?オッケーオッケーいつでもオッケー」

「そんな名前をつけた覚えはありませんが」

「俺が今命名したの。いいじゃん別に、ナイスなネーミングセンスだろ?」

「毎年恒例になるかは来年にならないとわかりませんよ」

「着眼点そこじゃない気がします……」



どうも皆どこかズレている気がする。ソウル君は別格だけどね。

私は苦笑しながら突っ込みを入れた。



「ソラとリトととっ……噛んだ。ヤト借りますね先生」

「あいよ」

「ルル借ります」

「わかりました」

「写真部は何かありますか?」

「特にはありませんねぇ」

「はい。オッケーもらったから。明日がいい?それとも明後日?」



先生は次々と先生方に話しかけて許可をもらった。サボるというのに口約束だけでそんでしまうとは驚きだけど、すんなりと通ったことはありがたい。

でも先生は早く行きたいのか目を輝かせてアラン先輩に聞いた。



「気が早すぎます先輩。来週にしてください」

「えー待ち遠しいと思わない?せめて5日後は?」

「……じゃあ、5日後でいいです」

「やったね。俺結構楽しみなんだ」



先生は鼻歌を歌い出しそうな勢いで座っている椅子を足でくるっと一回転させた。そして机に向かったと思うと、汚い紙の山から一枚引っ張り出して計画を立て始めた。

ていうか、机の上汚っ。整理できていないのが気になって私の隠れている主婦魂が顔を出す。



「先生、ここ片付けましょうよ」

「んー?めんどくさい。それに動かすとわかんなくなるからやりたくないんだよねー。たまに研究資料とか埋まってて間違って捨てると取り返しがつかなくなるし」



めんどくさいと言ったわりにはまともな返事が返って来たため面食らう。整理すればすむ話だけどそう言われては手の出しようがない。

私は片付けたい衝動に駆られるのを必死に押さえ込んでアラン先輩に言った。



「早くここから出ましょう。掃除の本能に負けそうです」

「なんだよ本能って……それなら生徒会室の掃除をやってくれ。誰も手をつけようとしないんだ」

「では、行きましょう先輩。暇なんでしょう(手伝ってくれますよね)?」

「参ったな……仕方ないか(逃げられそうにない)」



見事契約が成立し私はルンルンと生徒会室に進む。そんな私の半歩後ろを先輩が重い足取りで歩いているのは無視する。力仕事してもらおっと。

昔の写真とか出てきたらおもしろそうだな。若たりし頃のアラン先輩とか出てきたら笑っちゃいそう。

そうやって笑っている私に先輩が僅かに身を引いてるなんて気づかなかった。



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