悠久幻夢嵐(2)-朱鷺の章-Stay in the Rain~流れゆく日々~

4.力が発動する日



理事長室から隣に続く部屋へと
移動した俺は、
会話もないままに
朱鷺宮と二人、立ち尽くしていた。



今の俺が気になっているのは、
目の前の扉の向こう側。



飛翔と共にいる、
二階堂と自己紹介した理事長。



ここにはアイツの昔を知る奴が居る。


それを何とかして聞き出したいと
心を馳せる俺自身が、
なんか可笑しくて、それでいて
宝探ししてるみたいな不思議な感覚が
自身を包み込んでた。


暫くすると、ノック音と共に扉が開いて
俺ら転校生を迎えに来た
戸村と名乗った担任が現れた。



顎の白髭が特徴だ。




「私が君たちを
 受け持つ戸村だ。

 宜しく頼む。

 
 まずは朱鷺宮。

 宮家に繋がりし方が
 宮の指定校に通わず、
 何故に、この学院を選ばれたかは
 わかりかねるが、
 宮家のものとて、私にとっては
 一生徒に過ぎぬ。

 それだけは、朱鷺宮も忘れぬよう」

「構いません」




宮家?




そう告げられた担任の言葉と、
総本家で聞いた宮と言う言葉が
何故か俺の中で気になる。




朱鷺宮涼夜。





名前を聞いた時に、
すぐに思い出せなかったが……
コイツは?




「そして徳力。

 早城の甥子らしいな。

 騒々しい一年に
 なりそうじゃわい。

 精進せよ」




騒々しい?



飛翔、ここに来て
お前を知るもの、知るもの
まともな評価をするものが
居ないのはどうしてだ?





アイツに進められるままに
転校したこの学院に
本当に俺は来てよかったんだろうか?



微かな不安も感じながら始まった新生活。

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