悠久幻夢嵐(2)-朱鷺の章-Stay in the Rain~流れゆく日々~

12.カムナの呪い





朱鷺宮が降家した翌日、
鷹宮へと出勤した飛翔を見送って
久松に頼んで総本家へと向かった。



総本家にさえ行けば朱鷺宮の本心が、
聞き出せると思っていたのに、
事態は軽く考えられるものではなかった。



総本家に降り立った途端に、
淀み切った空気が敷地内に広がり続ける。



悪気にあてられて一晩で体調を崩す村人たちが
後をたたなかった。







浄化しないといけないか……。






一人呟きながら俺は手探りで携帯を取り出して
桜瑛の元に連絡を入れる。





「桜瑛……。

 闇を祓いたい。
 力を貸してくれないか?」



突然告げる言葉。



「待って。

 月姫様に伺ってみるから」



そう言った桜瑛は電話の向こうで自らつかえるまだ幼い主に
承諾を得ようとしているみたいだった。



『宝(ほう)さま。

 おかげんは、
 よろしいのでございましょうか?

 月の力がおよばぬ今、たよりは桜瑛が一人。

 宝さまのおのぞみとあれば
 いつでも桜瑛は妾のかわりに』



突然、小さな鈴を転がしたような話し方をする、
古風な話し方をする少女が電話の向こうで語り始める。


話しようは気に入らないが、
桜瑛の力が借りられるならば致し方ない。


「秋月の姫の申し出に感謝する」


ゆっくりと告げると電話の向こう、
少女は嬉しそうに声をあげていた。



「ごめんなさい。
 神威、それで私はどうしたらいい?」

「久松に迎えを頼む。
 内部事情は深く語れないが力を貸してくれ」



そう告げると電話静かに消した。

< 60 / 104 >

この作品をシェア

pagetop