「 」で出来てく物語



【団子を3個に分ける方法 未来】



雅「あ、桐生桐生桐生!」


桐生「うるさいな、一度呼ばれれば分かる」


雅「俺んちの近くのいつもの和菓子屋でだんご買ってきたんだけど、一緒に食おーぜ!」


桐生「買い食いすんなって言ってるだろ、ったく」


雅「だってお前あんこ好きじゃん、食わないの?」


桐生「……食べる」


雅「じゃあ次は蓮だな、どこにいるかわかる?」


桐生「昼休みの後半だしな……飯でも食って中庭で虫探ししてんじゃないの?」


雅「あー、それっぽい。幼なじみだと行動パターンまで読めてしまう」


桐生「お前のはただのストーカーだけどな」





雅「蓮! みっけ!」


蓮「うわ」


桐生「幼なじみに学校で会った時の第一声が「うわ」って……」


蓮「なに? 今アリの巣探してて忙しい」


桐生「アリの巣より幼なじみだろ」


蓮「アリの巣>>超えられない壁>>>幼なじみ」


桐生「まじか」


雅「だんご食べようと思ってー、蓮も食うっしょ?」


蓮「た……食べる……けどぉ」


桐生「ていうかちょっと待て、お前まさかまただんごが4個刺さってるのを1本とかじゃないだろうな」


雅「あー、大丈夫大丈夫! さすがに! 俺も学んだって!」


蓮「本当に?」


雅「じゃーん! 今回は1本に4個刺さってるだんごを4串用意しました!」


蓮「…………」


桐生「何を学んだんだお前は。それじゃあまた誰が2本食うかでもめるだろ……」

 
雅「…………し、しまった」


蓮「レディーファースト。わたし2本」


桐生「レディーファーストの意味が違う」


雅「仕方ないからここはあれじゃね、ジャンケン……とか」


蓮「えぇー、私が勝つならまだしも雅くんか桐生くんが2本もおだんごを食べるのかと思うと、腸が煮えくり返って死にそう」


桐生「どんだけいかれるんだよお前は……」


雅「えー、じゃあどうするー」


桐生「うーん……」


蓮「……あ!」


雅「えっ……待って! 待って! このパターンって……!」


桐生「! お、落ち着け蓮! 前回はだんご1つ、今回は1本だぞ……!」


蓮「構わぬ、喧嘩になるくらいなら情けは無用」


雅・桐生「あっ………!!!」


蓮「中庭のアリさんたちに幸あれ~」


桐生「……何年たっても、おんなじことしてるんだな俺たちって」


雅「激しくデジャヴ……」




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