LAST SMILE




亜貴は・・・。


いろいろと知りすぎてるから、
こんなにも大人っぽいのかもしれない。



背伸びをしているんじゃなくて、
まるで小学生が


いきなり社会の中に放り込まれたような、
そんな感じ。



知りたくないのに、知ってしまった。


知らないはずだったのに、
いつの間にか知っていた。



亜貴には、
そんなことが多いのかもしれない。



もし、亜貴が何も知らずに居たら、
今の亜貴はここにはいなかったのかな?




「ねぇ、亜貴・・・」


「ん?」


「・・・ううん。なんでもない」


「そっか」




あたし、今、
何を言おうとしたんだろう・・・。



咄嗟に目をそらして、
目の前でふざけている3人を見る。



「何か、一年が終わるのって、早いね」


「どうした?いきなり」


「んーん。何か、
 次のライブはクリスマスかぁって思うとさ、
 寂しいなぁ・・・」


「なんで?来年も、
 今までと変わらずにバンドは続けられるじゃん」





来年も・・・。



そう、自然と思ってくれるのは嬉しい。



だけど、あたしは気付いちゃってるんだ。



もう、あたしはここに
いられないかもしれないってことに。





なんでって?



あたし、知っちゃったの。




みんなは、



亜貴は気付いていないのかな?







祐兎の喉が、





もう、治っているということ―。










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