LAST SMILE
笑ってるよ?

★亜貴Side



来れないかな。
あいつ・・・。



そう思っていた矢先、
後列にいたやつらが騒ぎ始めた。


なんだよ。
うるせぇな・・・。


そう思ってため息をつき、
後ろを振り返ったとき、


そこに、彼女はいた。



覚えてる。



何日か前に見た、輝いてた頃のあの子。



ただ、
前をまっすぐに見つめている。



俺は思わず立ち上がった。





周りのやつらがざわざわと騒ぎ始める。


式関係の大人が何人か出てきて麗華を止めた。




「なんだよ!REIに触るな!!」


「そうよ!!
 出てこないでください!!」




みんながそういって文句を言った。


麗華はそのまま前に出てきて、
ゆっくりと、遺影の前でとまった。




遺影を静かに見上げる麗華。


麗華は大きく息を吸って、
そして・・・。






  歌ったんだ。







みんなが声を失った。


その歌は、
ライブの最後に演った曲。


麗華の声は、
この静かな空間に心地良く響いて。



誰も止められなかった。


ただ、目を閉じて、
涙を流して聞いている。








「え・・・?」



そしてみえたんだ。


一瞬だけど。


こんな話、
ばかげてるって自分でも思うし、



そんな非現実的な現象、
ありえないって分ってるけど、



でも、
それでもあれはそうだった。





俺は、必死であの曲を歌う麗華を
そっと抱きしめるあいつの姿をみた。







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