マーメイドの恋[完結]
「好きな人とするセックスって、こんなに気持ちいいものなんやね」
倉沢が夏子の頭を撫でながら言った。
倉沢も、今まで本気で好きになった人はいなかったと言っていた。
それでも、付き合った人とはセックスをしていたのだろう。
「好きじゃなくても、付き合ってるとセックスはしたくなるんでしょ?」
「う〜ん。いや、俺はしたくならん方なんやけどね。相手がしたがるやろ?」
「彼女がしたいって言うの?あっ、私もマサにそう言ったんだった」
「付き合ってるのに、なんでしないのかって女の人は思うんやろ?好きなら抱きたくなるはずだって言われる」
「そうだね。何にもしてこないと自分のこと好きじゃないんだって思ってしまうわ。でも、男の人は好きじゃなくてもできるし、したくなるんじゃないの?」
セックスしたいために、好きだと嘘をつく男もたくさんいるのだから。