マーメイドの恋[完結]

しかし、そういう男に惹かれる女性もいるのだ。
夏子もそうなのかもしれない。
言葉巧みに優しいことを言われ、また夏子があの男のところに戻るのではないかと心配になった。

だが、夏子はもう会うつもりはないと言う。
電話で別れを告げ、部屋の鍵もメールボックスに入れてくると言う。

それは逆に考えると、会ってしまえばまた気持ちが揺らぐということなのではないか、
倉沢は不安になり、夏子に彼氏のところには、絶対に戻らないで欲しいと言った。

そして、入浴後夏子を激しく抱いた。
夏子が少し苦しそうな表情を浮かべたが、自分を受け止めてくれていることがわかり、もっともっと激しく、もっともっと夏子の奥の中にと、身体を動かし続けた。

好きな女とのセックスに溺れてしまいそうだった。
夏子を独り占めしたい。
倉沢は強くそう思った。


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