マーメイドの恋[完結]

しかしその女性は、何やら怒ったような表情をしていた。
どうしたのだろう、自分たちが何かマンションのルールを守らないようなことをしたのだろうか、などと夏子が考えていると、その女性は伊原に突進してくるような勢いで歩いてきた。


「あんたねー!お金返しなさいよお金!私があんたにいくら騙し取られたかわかってんでしょ!」


「ちょっと待ってくださいよ。人聞きの悪い。こんなところで言わないでもらえますか」


ー篤志さんのお客様?どうして怒ってるのかしら。騙したとか言われてるけどー


「そんなこと関係ないわ。下着やら宝石やら、ものすごく高いものをいろいろ買わされて。
下着も痩せるって言うから買ったのに、まったく痩せないし、宝石も何百万もして。詐欺じゃないの!」


「ほんとに困りますよ。お客様も納得されて購入して頂いたと思うのですが。それに家族のように親しくしてきたではないですか」


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