マーメイドの恋[完結]

マンションドミールに住みたい理由は、ドミールの目の前の浜辺が、夏子の一番好きな場所だからだ。


海の町に生まれたとはいえ、毎日お気に入りの場所に行けるわけではない。
そして海ならどこでもいいというわけでもない。


しかも、実家からは海は眺められない。
港は近いが、やはり白い泡のたつような波が寄せる浜辺が夏子は好きなのだ。


夏子は高校を卒業して銀行に就職した。


「夏子。あんたは絶対に漁師と結婚なんかするんじゃなかよ。苦労するばってんね。銀行員と一緒になりんしゃい。就職もできるなら銀行がよかたいね」


夏子の母親の小夜子は、夏子が小さな頃から口癖のように言っていた。


夏子は、漁師である父親のことは好きだったが、母親の苦労する姿も見ていたので、母親の言うことが正しいのだろうと思ってきた。


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