マーメイドの恋[完結]
これを全部食べなければいけないという、強迫観念に襲われるからだ。
ー普通のカレーでいいのに、何故わざわざ焼くのかしらー
伊原はすぐに食べはじめた。
「あっつ。でも美味いよこれ」
ー早く食べなきゃ。伊原さんが食べ終わった後に食べ続けるのは恥ずかしいしー
だけど、焼きカレーはなかなか冷めてはくれない。
口の中をヤケドしながら食べていると、やはり伊原はすぐに食べ終わった。
「伊原さん。少し食べてもらえる?」
「いいよ。でも、その伊原さんってのやめてくれるかな」
「篤志さんお願い」
夏子は半分程を伊原の皿の方へと移した。