マーメイドの恋[完結]
「海なら毎日見てるからいいよ」
地元の海が好きだと言ったことを、伊原は忘れて、海ならどこでもいいと思ってるようだ。
水族館を出てから、ふぐ料理の店に入り、ふぐのフルコースを伊原は注文した。
ふぐの鍋やふぐの刺身や唐揚げだ。
「こんなに食べれないってば」
「そうだな〜マンションに戻ったらご馳走食べられるの忘れてたよ」
「マンションでご馳走?」
「俺んちだよ。ご馳走は夏子に決まってるやんね」
夏子は返事が出来ずにいた。
「もうヤケドは大丈夫か?」
「うん。大丈夫」
この返事は、今日抱かれてもいいよという返事になってしまう。
「良かった。じゃあたくさんできる」
何をたくさんするのだろう。
伊原に抱かれることを想像しただけでドキドキした。
そして抱かれたいと思った。
これもはじめての感情だった。