マーメイドの恋[完結]
「ううん。腕しびれるでしょ」
腕枕は、する方もされる方も、疲れてしまうものなのだ。
男の方は、腕がしびれても我慢するのが愛情だと錯覚し、女の方も首や肩に力が入ってキツイのに、キツイと言わないのが愛情だと錯覚している。
「夏子はいろんなことを気にする性格なんやね」
ーえっ?ー
そうかもしれない。
こういうところが、男には鬱陶しいと感じるのだろうと夏子は思った。
「うん。こんな女と一緒に暮らすと鬱陶しいからやめた方がいいかもよ」
「そんなことないって!スゲーなって思ったんよ。いい奥さんになるばい夏子は」
ー誰の奥さんに?ー
「奥さんになる予定とかないもん」
「作ればよかやん、予定を」
「どうやって?」
ー何言ってんの篤志さんー