マーメイドの恋[完結]
洗剤や柔軟剤は、洗面所の下にある扉に置いてあった。
ドラム式なので、後は乾くのを待てばいい。
「洗濯機ドラム式なんだね。うちのはドラム式じゃないよ。高いから」
夏子はケトルに水を入れ、お湯を沸かしながら伊原に言った。
「あぁ、洗濯物を干して帰られても困るから、あれを買ったんだよ」
なるほど。
お母さんが洗濯してベランダに干しても、雨が降っても困るだろうし、伊原が洗濯物を取り込むはずもないからだ。
「はい。コーヒーとスープとサンドイッチ」
夏子はソファーの前の小さなテーブルに、それらを置いた。
「目が覚めたら、夏子がおらんかったけん、逃げたんかと思ったばい」