マーメイドの恋[完結]

夏子は、足に力が入らない感じになり、その場にへたり込みそうになったが、なんとか踏ん張った。


「そうですか。わかりました。私の勘違いだったのかもしれません。失礼します」


悔しかったが、伊原がいない場所で、女性と言い争っても仕方ないと思い、夏子は帰ることにした。


玄関から急いで外に出ようとして、右手に鍋やキッチン用品の入った袋を持っていることに気がついた。
家に持って帰るのも癪に障るので、玄関の隅に置いた。


ーあっ、毛布!いいや、お母さんが来てるなんて嘘ばかり言って、あんな女部屋に入れてた男のことなんか、もうどうでもいいしー


夏子は、そのまま駅に向かい電車に乗った。


ーあんか嘘つきはじめて。サイテーだわ!何が結婚よ!エッチしたかっただけじゃないー


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