マーメイドの恋[完結]

倉沢から真っ直ぐな目で見つめられて、そんなことを言われると、又信じてしまいそうになる自分に夏子は負けてはならないと思った。


「そんなこと言われても困るわ」


「好きになってもらえないなら諦めます。しつこくはしませんから。そして絶対に変なことはしません。約束します」


「付き合うことにはならないと思うけど」


それならハッキリ断ればいい。
何故それが自分にはできないのか。
それが隙があるということなのかもしれない。


「友達からお願いします」


男はみんな付き合うまではしつこくて、そして飽きたら捨てていく。
そうなってしまう原因は、夏子にあるのか聞いてみたくなった。


「ねぇ、私は軽い女に見られてるの？」


「全然軽くなんかないですよ！俺なんかと付き合ってくれるなんて、ほんとは自信はなかったんです。でも何にも言わずに諦めるのは嫌だったんです」