Sun time


「日向(ヒナタ)見てこれ‼︎綺麗な貝殻!」



「あー‼︎陽葵(ヒマリ)そこ段差‼︎」



「へっ…?きゃっ!……痛っ…」



「あっ‼︎陽葵‼︎」



心配して駆けつけてくる彼。


「ふふふ‼︎なーんてね‼︎ 全然痛くないよ
ざまぁみろっ‼︎あはは‼︎」


ペロリと舌を出しながら私は彼をからかう。



「お前なぁ‼︎心配しただろ‼︎これでもくらえ!」



砂でドロドロの手を私の頬になすりつけた。



「何すんの‼︎日向‼︎」



「ヒゲみたいだな‼︎ざまぁみろ‼︎」

幼い笑みを浮かべがら私の顔をみてケラケラと笑う。



「お嫁に行けなくなったらどうしてくれるのさっ」

顔についたドロを取りながらブツブツと文句も彼にぶつけた。


「…俺がも…って…る。」



「なに?海の音で聞こえない‼︎」

彼はなにか呟いたようだが波によって掻き消される。



「な、なんでもねーよ‼︎」



彼の顔が紅潮する。腕で口元隠しながらプイッと私から顔を逸らした。




いたずらをしあって笑いあう。
そんな私達の関係は友達以上恋人未満。

なんとも、むず痒い関係だった。




でもこんな関係が大切で大好きで…。



でも。いつか日向に大好きって伝えたい。


友達じゃない私で彼の隣に並びたい。


私は我儘だ。

こんなにも幸せなのにこれ以上を望んでしまう。



たまに思う。『私は誰かの幸せを吸い上げてしまっているのではないか。』なんて。


考えすぎたろうか。



どうかこの幸せがずっとでありますように。



ザザァの波打つ海にそう願う私が砂浜に立っていた。





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