今も。これからも。ずっと、きみだけが好き。
「それで、何が大丈夫なわけ?」

 頬から手を離して、陽菜の顔をジッと見る。
 おまえ、今、誰を気にしてる?

「ペナルティとか、自粛とかしなくても、大丈夫だよってこと」

 やっぱり……


 天を仰ぐ。

 日も昇らない早朝の空。
 星が瞬いていた。

 白い月が俺達を見下ろしてる。

 早春の空気はまだ冷たくて、俺達の間を肌寒い風が通り過ぎていった。


 面白くない。


「何故、悠斗を庇う」

 不機嫌さを隠し切れずに責める。


「庇ってるんじゃないよ。あれは白河くんのせいじゃないから。わたしが不甲斐ないせいだから」

「おまえはバカか」

 腹立つ。

 俺は陽菜の額をピンと弾いてやったら、

「いったー」

 陽菜が眉を寄せて額を押さえた。

 勢いにまかせてやったから、痛かったかも。

「なんで、デコピン? なんか悪いこと言った?」

 額をさすりながら、ちょっと涙目になった陽菜。

 微かに赤くなってる?
 やり過ぎたかな? とは、思ったけど。



 でも、やっぱり、腹が立つ。

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