今も。これからも。ずっと、きみだけが好き。
「言った」

 陽菜が目をぱちくりとさせた。

 この顔は何も分かってないな。


「あれは悠斗が悪い。俺の忠告を無視したあいつが悪い」

「そうじゃないよ。人のせいになんてしたくない」

「おまえさ、いい子ちゃん過ぎ。人が良すぎ。誰が見てもあれは悠斗のせいなんだから、おまえはもっと怒れ」


「航太、横暴」

 悠斗を庇ってるわけではないのかもしれないけど、毅然とした態度は必要だぞ。
 そうしないと、絶対あいつは調子に乗る。

「陽菜」

 俺の呼びかけに、陽菜はちょっと困ったようにこめかみに手を当てた。

 何かを考えるようにしばらく黙って、おもむろに口を開いた。


「わたしはね、試合に集中したいの。昨日だって、お母さんに腹立ち紛れにいろいろ言ってしまったし。今朝だって、顔を見ずに家を出てしまったから、気まずい思いをしているの。これ以上、ごたごたしたくはないから」

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