今も。これからも。ずっと、きみだけが好き。
 朝練が終わって教室に入ると、最初に目に飛び込んできたのは悠斗の顏。
 一番見たくない顔だ。


「陽菜は?」

 席に着くなり聞いてくる悠斗に少々うんざりしながらも答えた。

「普通」

 俺の言葉に不安げだった顔がホッとしたのか頬が緩む。

 心配して当然。同情する余地はない。

 悠斗の顔をよく見ると、目が赤かった。
 昨夜、寝れなかったのか。

 あれだけのことをしでかして置いて、グースカ寝てられたら、パンチもんだけどな。
 寝不足くらい、当たり前だろ。

 ちっとは悩め。

 この能天気野郎。

 心の中で、罵倒する。


「これなんかわかるか?」

 俺は悠斗の目の前に小さなバッグを差し出した。

 一目見てわかるだろ。
 こいつには見慣れているもののはずだから。

「弁当?」

「正解」

「航太がなんでそれを持ってんだ?」



 疑問に思うのも無理はないな。
 
< 423 / 566 >

この作品をシェア

pagetop