今も。これからも。ずっと、きみだけが好き。
「よかった。俺からの話はこれで終わり。何か聞きたいことはあるか?」

「別に……」

 頭の中がいっぱい、いっぱい過ぎて何にも浮かんでこない。

「そうか。俺は帰るけど、悠斗は?」

 航太が今日初めて、笑顔を見せた。

「もう少し、ここにいる」

 航太と一緒に店を出て行く気分じゃない。
 もう一度、頭の中を整理したかった。

「わかった。今日は俺の奢りな」

 航太が伝票を持って立ち上がろうとした時、

「ちょっと、待ってくれ。伝言頼まれた」

 ふと、頭によぎった昨日のことが引っかかって航太を呼び止めた。

「何だよ、伝言って?」

 不思議そうな顔をした航太がもう一度イスに腰かけた。

「西野から」


 航太は不意に出た彼女の名前に少し顔が曇る。

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