今も。これからも。ずっと、きみだけが好き。
陽菜はどこにいるんだろう?

 眼下に見えるコートを眺める。
 まさか終わったわけじゃないよな。

 何度も目を凝らして探してみたけど、それらしき姿は見つからない。


 1つのコートでは女子の試合中だけど、これが決勝戦ってことはないよな。
 陽菜、いなかったし。

 進行具合がわからなくて、焦ってきた俺はスマホを取り出した。
 航太に聞いてみればわかるかも。

 メールを打とうとキーに指を伸ばした時、


「久しぶりですね。白河さん」

 どこからか聞こえてきたのは、聞き慣れてしまった特徴的な声音。

 歩夢か。

 スマホの手を止めて声の主を見た。


 人を食ったような表情の歩夢に少しイラついたけれど、ここは年上の余裕見せとかないとな。


「久しぶり。歩夢くん、元気だったか?」

「はい。もちろんです」

「それはよかった」


 お互い、白々しい態度。

 わかっているけど、社交辞令も必要だよな。

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