今も。これからも。ずっと、きみだけが好き。
「隣の席に座ってもいいですか?」

 こっちにくんのかよ。


 まあ、見ず知らずの他人と思えばいいか。

 空いている隣の席に移ろうとしたら、

「こっち、どうぞ」

 さっきの女子高生が、俺の隣に置いたパンフレットをどかした。


「えっ、でも」

 歩夢が遠慮がちに言葉にした。

「いいですよ。必要ないから、座ってください」

 にっこりと微笑んだ女子高生の腕を隣の男子が肘でつついていた。


「いいのかよ。あいつらの席だろ?」

「いいの、いいの。あの2人にはここで充分」


 そういった視線の先には通路になっている階段。

 もしかして、ここに座らせる気か?


「あの……他にも席は空いてますから、いいですよ」

 そうだよな。
 俺の隣はガラリと空いている。

「先に行くより、手前に座った方がいいでしょ? どうぞ」

 手まで差し出されて促される。

 連れの男子を見ると、座れ、座れ、みたいなジェスチャーをされた。
 口出しするのを諦めたみたいだ。


「すみません、ありがとうございます」

 歩夢も彼女のごり押しに負けたみたいで、ぺこっと頭を下げて俺の隣に座った。
 
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