今も。これからも。ずっと、きみだけが好き。
 すると、彼女はちょっと困ったような顔をしたけれど、やがて、ふっと表情を緩めた。


「仕方ないな。だったら、送らせてあげる」


 茶目っ気のある表情で微笑んでくれた。


「ありがとう。これで俺も今夜は安心して眠れるな」


 俺の言葉に、不意にくすくすと陽菜が笑い出した。
 それにつられて、俺も笑う。


 やっぱり、陽菜はかわいい。


 ちょっとした会話も表情も、俺の心を捉えてしまう。
 

 エレベーターが来なければいい。
 2人きりの時間がずっと、続けばいいなと思っていた。


 意に反してすぐにやってきたエレベーターに乗ると、なんとなく会話がなくなって、そのまま陽菜の部屋の玄関まできた。

「じゃあ、また明日」

 また明日って、
 彼女はただのあいさつとして、言ったのかもしれないけれど
 陽菜の言葉に次もあるのかと期待してしまう。


 
 航太は友達だった。


 でも俺は……

 今はまだ友達の友達。
 その程度かもしれないけれど

 だけど。


 いつかは――
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