遅咲きプリンセス。

◆ダサ子の乱

 
週明け、月曜日。

「おはようございまーす!」と、声も高々に部署に入っていくと、先に出社していた社員たちは、みんな見事に私を二度見した。

私のあとから出社した社員も、みな一様に「おおっ!」とか「うわっ!」と驚きの声を上げ、もしも”調子乗ってんじゃねーよ”と思われたらどうしよう……と思っていた女性社員からの反応も、すこぶるいいから、とにかく驚く。


「どうしたの、とたんにあか抜けちゃって」

「いや、ちょっと気分転換でもしてみようかなと思って。……あの、変じゃないです?」

「全然!鈴木さんって、元がよかったのね!」


中でも一番驚いたのは、あの百戦錬磨の小林さんが自ら私に話しかけに来てくれ、そんなふうにお褒めの言葉をかけてくださったことだ。


「鈴木さんも今度の合コンに行かない?」

「いえ、合コンとかは……。でも、誘ってくださって嬉しいです。ありがとうございます」

「あ!やっぱり鈴木さんだ。そういうところがないと、なーんか鈴木さんっぽくないのよね」


そして、人生で初めて、合コンにも誘われた。

おかげでかなり自分に自信がつき、そんな朝の一コマを終えたあとの仕事は、なんだかいつもと気分も違って、はかどり具合もいい。
 
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